【梛文】#2 いじめ(なんとなく)
小学生の頃、いじめを受けていた。
成人式で、いじめてきた人たちに聞いてみた。
「なんで、私をいじめたの?」
彼等は言った。
「ごめん。なんとなく。」
一番、言われたくないセリフだった。
理由があれば、なんとよかっただろうか。
私の小学生時代の思い出は、なんとなくに、殺された。
信頼していた友が、2人いた。
いつも遊び、いつも話し、いつも共にいた。
共に行動することが、楽しかった。
ある日、突然2人に命令された。
「今日は、一緒に行動しないでくれ。」
そんな日もあるのだなと、不思議に思いつつも、要求をのんだ。
そんな日が、次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、続いた。
気づいたら、私の周りに、人はいなかった。
気づいたら、私は、なにかに、迫害されていた。
気づいたら、私は、罵倒され、石を投げられ、泣いていた。
気づいたら、私の世界は、1人ボッチだった。
そんな私に寄って来るモノは、2種類だった。
1つは、口だけの心配をして、行動を起こせない他人。
2つは、優越感に浸るため、なんとなくいじめてくる他人。
私は、小学生ながらに知った。
ヒトは、己の世界を冒してまで、誰かを守ろうとはしないということを。
私は、小学生ながらに知った。
ヒトは、なんとなくで、人を傷つけることを。
ヒトって、世界って、なんて残酷なのだろう。
なんとなくって、なんて恐ろしいんだろう。
私は、小学生ながらに知った。