【梛文】#5 いじめ(そのご)
いじめがなくなり、ふつうに、生きられるようになった。
ふつうに部活動に励み、
ふつうに友達と遊び、
ふつうに家族団欒できるようになった。
中学では、楽しいことがたくさんあった。
友達と映画を見に行ったり、初めて恋人ができたり、学級委員長やったり。
ふつう以上の、楽しい経験をすることができた。
中学では、辛い事もたくさんあった。
部活動では体罰を受け、高校受験に失敗した。
中学は、総合的に見ると、いまいちだったかもしれない。
高望みだろうか。それでも、やはり思い描いていたものとは違かった。
だから、高校では、良いと言える3年間を過ごそうと決めた。
私は高校受験に失敗し、
入る予定などなかった高校に入学することになってしまった。
だがそこで、
親友ができた。師と言える先生に出会えた。結婚したいと思える恋人もできた。
勿論大変なこともあった。
部活は万年1回戦負けの弱小チームだったし、勉強もハードだった。
それでも、楽しいといえる生活をおくるために、努力した。
部活動では、試合の為の練習を意識して、集中して取り組んだ。
勉強では、週6日、高校1年次からずっと、部活後に学校に残り勉強し続けた。
少しずつ、努力が報われるようになった。
部活動では、チームとして結果を残せるようになっていった。
勉強では、部活をしている者では唯一、学年トップ10入りし続けた。
気づいたら、私は、色々な組織や人に頼られるようになっていた。
学級委員長は、立候補ではなく、先生方からの推薦で務めさせていただいた。
部活動では、公式戦で毎回1回戦負けのチームが、3回戦まで進んだ。
私は、部長に任命されていた。
勉強では、良いと言える成績を残し続け、
結果、第一志望の大学へ進学することができた。
他にも、生徒会への推薦や、卒業生代表に任命されるなんてことも、
皆のおかげで、経験させてもらった。
高校では、文武両道がうまくいき、最高に楽しい3年間をおくった。
もしかしたら、ふつうより、楽しい日々だったのかもしれない。
大学では、より意味ある日々を夢見て、目標を掲げ、過ごした。
学業面で誇れる成果を残す。視野を広げるべく多くを経験する。
他にもいろいろ掲げた。
勿論、大学でも、目標達成のため、努力し続けた。
結果、学業面では大きな成果を残し、
無数の経験をサークルを通してすることができた。
そして私は、社会人になる。
自分でお金を稼ぎ、好きに生きていける歳になる。
辛いこともたくさんあると思うが、将来の幅を広げるべく、頑張ろうと思う。
働けることは、幸せだと思う。
海外に幾度か行っている私だが、
働ける人は限られているという現状を目の当たりにした。
働いて、お金を得る。これがどれほど幸せなことか、私は知っている。
10年前の私は、今の私を想像できていただろうか。
何度も死のうと思っていた。
何度も泣いて、何度もどこかに行きたいと願い続けていた。
何度もいじめられ、何度も罵声を浴びせられた。
今はもう、そんな私ではない。
私の死を悲しんでくれる、友や家族、恋人がいる。
悲しいではなく、嬉しい涙を流せる経験をたくさんすることができた。
君が良いという温かいことを言ってくれる人がたくさんいる。
学びながら、お金を得て、好きなモノを買ったり、することができるという幸せが、来年には控えている。
昔は、ふつうの暮らしを熱望していた。
今は、ふつう以上の幸せを手に入れられている。
これからも、幸せに生きていきたいと思う。
幸せの価値観は人それぞれ。
私は、生きている。それだけでも幸せと言い切れる。
沢山努力し、悩み、苦しみながらも、
一度きりの人生、楽しみたいと思う。
私の人生、謳歌しないと勿体ない。
私は、幸せ者だ。
昔と違い、人や環境に恵まれている。
あの時、死ななくてよかった。
今なら、そう言える。
いじめが笑い話になった今、あれがあったから私は強くなったと言える。
強く、幸せに、生きようと思う。